☆ 2011.04.30 SAT ☆
人形劇団ひとみ座団友、ウニマ(世界人形劇連盟)名誉会員の
須田輪太郎さんが本日お亡くなりになりました。
『大きな“道”をありがとうございました!』
としか言いようのない、人形劇界の重鎮でした。
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人形劇団ひとみ座の座長を50年間つとめ、座長引退直前の
新国立劇場 こけらとしの リア王は圧巻でした。
一番実年齢に近いリア王だと 笑いながら 2時間半近いシェイクスピア劇のセリフを
面包(めんぽう)をつけた状態でろうろうと演じていました。
狂気で弱っていく リア王の大きな人形の表情の、なんと愛おしかったことか。
骨太で、ブレがなくって、芝居心も一貫してるから、
人形遣いとしてだけではなく、脚本も演出もみごとでした。
須田さんの演出には優しさがあると伺ったことがあるけれど、
それは“ぬるい”ものでは決してなく、厳しい現実を見つめた先の、
そうありたいと思わせるものだったと思います。
-0歳から100歳まで-と銘打たれた、地域公演の名作『牛方とやまんば』。
山姥に谷に引きずり落とされていく、鳴き叫ぶ牛の手綱を全身で必死に引く牛方。
『死ぬな、死ぬな』という心の叫び虚しく牛は山姥の餌食となります。
彼にとって、家族であり、友であり、生きる糧であった、たった一頭の家畜。
そんな連れ合いをなくした牛方は、最終的には山姥を釜ゆでにするわけだけど、
山姥にとっても、山に踏み入れた生きた獲物を食する事は単に生きる手段だったはず。
お互いのサガを認めた上で、牛方が山姥の墓に花を手向けるラストシーンは
どちらの人生も肯定する説得力がありました。
ケコミの割れる演出も、山姥の怖さに泣き叫ぶ幼稚園児達もそれはそれは印象的。
もう一度、須田さんのウイットに富んだお話しを
本当にもう一度聞きたかった。
人形の“うなづき”を見るたびに須田さんの 『ケトウにこれはできない』をきっと想い出す。
大きな大きな道をほんとうにありがとうございました。
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